レミリア・スカーレット

緋吸血魔

緋吸血魔    顔かたち、
 う津くしけれども
 いとおそろしきものにて
 夜な/\出て人の精血を吸
 つゐには虜にすとなむ







 永遠に紅い幼き月、レミリア・スカーレット嬢です。
 誇り高くも我が儘、強気で幼稚という素敵な性格設定、なんでしょうか?

 白地に西洋モノの妖怪なのでどうしようかと迷いました。
 本邦の伝承には、吸血鬼なる存在はほとんど見あたりません。魍魎みたいに屍骸を喰らうものや、
こう頭から一口に啖うモノは結構居るのですが。
 数少ない例外は、濡れ女とか蛇形の妖怪でしょうか。
 前にも述べた事がありますが、ヴァンピールとかモーラとかいう西洋(特に東欧)の血を吸う魔の
原型は、おそらく腐敗しない屍体という現象であろうと考えらるわけです。温暖湿潤な本邦の気候下
ではまず起こらないことでしょうからねえ。東欧の地方的な怪異であった不死なる吸血鬼が今の如き
有名な妖怪となった経緯やら、各地の伝承やら興味は尽きないわけですが、それは又別の機会に。

 で、今回のレミィについてですが、この図柄は『絵本百物語』(通称桃山人夜話)の「飛縁魔」
(ひのえんま)をモデルとしています。背景や文章はほぼそのまま借用しました。
 まさに和製吸血鬼なわけですが、これは仏典に原型があるとも言いますが、実際の所多分江戸
時代一流の洒落だと思われます。丙午(ひのえうま)と火の閻魔(ひのえんま)などを掛けた言葉
遊びとして生み出された存在ではないでしょうか。男を喰い殺す美女というわけです。文章の末尾
も元は「とり殺す」でした。所謂民間に伝承される怪異とは異質なモノかもしれません。
 でも、幻想郷での在り方を考えればそれでも良いかなと考えました。

 あ、元の絵では傘を持っていましたっけ、レミィにも持たせれば良かったかなあ、日傘。

 えー、背景紅くしたくてこんな風にしてみましたが、こりゃあ、読み難いったらないですね。
 今後は止めます、多分。



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