白沢図 | 万象悉く記す 古の東方朔 之に依り妖を退く 黄帝之を作すと云 又俗俚に曰く 彼の図は行路を護り 病魔を払ふと 是牛王宝印の類也や |
久々の慧音さんです。
もっともこれは、「慧音さんが描かれたもの」が題材なのですが。
先に人気投票の支援用に描いた絵が余りにアレなので。
地の文からもうかがえるかと思いますが、白澤図の実体は錯綜しています。
そもそも大陸における白澤図は絵や護符ではなく、書物です。
白澤が黄帝に語ったとされる内容をまとめた物で、謂わば妖怪百科事典のようなものです。
各種の妖、鬼神の正体を記し、対処方法なども知ることができたようです。
かつては体裁を為していたようですが、現在では散佚し、諸書籍中に断片が残るのみです。
一方、本邦での白澤図は、基本的には一種の護符と考えて良いかと思います。
旅行でのお守りや病気避けとして広く流布しました。幕末のコレラ流行時に、護符として
もてはやされたことが良く知られています。
また、白澤の絵には、開運瑞祥を授けるものとしての性格や、薬屋の守り神としての性格を
持つものもあります。
上図では枕屏風の形式を持つものとして描きました。白澤は貘(悪夢を喰うという聖獣)と
同一視されていた形跡があります。ですから、悪夢を払うという伝承もあるのです。
(白澤は貘の別称であると記した文献もあったかと思います。)
で、貘は江戸時代の箱枕に描かれたりした訳ですが、白澤の枕も大陸にはあったようです。
貘と白澤の揃いの屏風も文献中で見たことがあります。
まあ、兎に角縁起物と護符との性格をもったものだったわけです。
なんだか代わり映えしないですね。この表現方法の限界でしょうか。
……あ、でも慧音さんの枕屏風とかいいなあ。可愛らしい絵が描ける方作ってくれないかな?
それから、牛王宝印は護符の一種です。
血判状の用紙に使われる、烏が文字の形に並んでるようなものが典型です。