初夢
初夢

初夢  
  はらはらと
  ついたちの夜、胸騒ぎ
  夢見よろしきものなれど
  目覚めてみれば、すべて幻


祀色工房の蒼桐大紀様に素敵な都々逸を頂きました。

僭越ながら絵を付けて見ました。
(文章に負けている気がしますが…)


祀色工房 〜immaterial words of primary colors.
祀色工房 〜immaterial words of primary colors.



 初夢に因んで、宝船と七福神に見立てた絵を描いてみました。

 宝船や貘の絵を枕に敷くと、良い初夢が見られるという話は有名ですね。
 宝船の絵の風習は、禁裏の習俗にも関わるだいぶ古くからのものようです。その日にちも1日、2日、或いは節分の夜(※)など幾つかの説があったようです。廻文や帆の貘字(上図では寶にしてしまいましたが)なども昔からセットのようですね。『嬉遊笑覧』には初夢や宝船の絵について色々と記載されています。これによると古い例は以下に挙げる西行法師の『山家集』で、「立春の朝よみける」とあります。
  「年くれぬ春くべしとはおもひ寝にまさしく見えてかなふ初夢
 貘は白澤とも関わりが深いので、中々興味深いです。

 七福神は、周知の通り恵比寿・大黒・毘沙門天・弁財天・布袋・福禄寿・寿老人の福神七柱です。元は恵比寿・大黒だけだったようですが、時代と共に増えて七福神となったそうです。
 構成も必ずしも一定していた訳ではなく、寿老人の代わりに猩々や吉祥天が入ったり、福助を加えて八福神としようとしたり(結局大黒あるいは恵比寿の下に付くということになって八福神にはならなかった)と、色々な変遷があったようです。縁起物ということで、流行神としての一面もあったようです。

 宝船の絵は、鳥山石燕の百鬼シリーズ「百鬼徒然袋」の冒頭にも描かれています。最後の二葉にも七福神が描かれており、全体が縁起物に見立てられているようです。
  「なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな
という例の歌も三葉に渡って記されています。

       *****

 東方Projectの登場キャラクターから、それぞれ神様と一応関連がありそうな人を選んでみたつもりです(かなりこじつけですが)。ただ、布袋和尚だけは上手く見立てられなかったので、布袋=弥勒という救世主っぽいイメージからオールマイティーな紫さんに座って貰いました。
 寿老人役を省いて六福神+貘慧音にでもしようかとも思いましたが、微妙にホラーになってしまうので止めました。
 私が遅筆なために、ちょっと時期が遅れてしまいましたが、また来年になってしまうのは惜しいもので(来年もこれを続けられているかも分かりませんし…)
 ついでに壁紙サイズでも…とも考えていたのですが、こんなウルサイ絵柄ではちょっとね。

 ★引用・転載の許可は頂いておりますが、あくまで都々逸の文章の著作権は蒼桐様に帰属します。

 ※初夢を節分の夜としていたことは、例えば以下のような詩文からもうかがえます。
   「節分の夜、鬼は外へ福は内へとおさめ、煎豆をかぞへ、舟をゑがきて敷などするを……」(『見聞集』)
   「節分の舟やふとんの島がくれ」、「節分と人には告よたから船」(『佐夜中山集』)




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