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??? 「真白き〜富士の根〜、緑の江の島 仰ぎ見るも〜、今〜は涙 帰らぬ〜十二の雄々〜しきみたまに〜 捧げまつる〜、胸と心〜♪」 ※ 小町 「――ほう。この歌は……」 ※ 阿求 「歌声が、……聞こえる。これは確か……」 ※ 霊夢 「???」 ※ 慧音 「……………」 「何時聞いても悲しい歌だな……」 ??? 「ボートは〜沈みぬ、千尋の〜海原 風も浪も〜小さ腕に〜 力も〜尽き果て、呼ぶ〜名は父母〜 恨みは深〜し、七〜里ヶ浜辺〜♪」 慧音 「それにしても一体誰が……。 ああ、そなたか! ふふ、閻魔様の忠告を聞く気になったのか?」 ミスティア「え?それ何だっけ??」 「この歌はね、里の外れのお婆さんに教えて貰ったの」 「いつも縁側に座っていて、沢山沢山歌を知っていたわ。 私は中でもこの歌が好きだったの」 「でも、最近ちっとも聞けないの。今日も、一緒に歌おうと思ったのに」 慧音 「里の外れの……?」 「―――――」 「そこの御老人は今はもう……」 ミスティア「ん?」 慧音 「否、そうだな―――」 「かの御老人はそなたと共にいるのだ」 「そう、そなたがその歌を歌い継いで行く限り、いつまでもそなたの心の中で生きている」 「人の命は短い。その姿形も、思い出もいつか消えて行く。 でも、歌という美しい形を取ることで、その想いは後世に引き継がれて行くんだ」 「喜びも、悲しみも。……時には怒りや苦しみさえも、ね」 ミスティア「―――――」 「私には、そんなことはどうでも良いわ」 「私は誰かの心を動かすことのできる、美しい歌が歌えれば、それで良いの」 慧音 「……………」 ミスティア「み雪は〜咽びぬ、風〜さえ騒ぎて 月も星も、影を潜め〜 みたまよ〜何処に迷〜いて〜おわすか 帰〜れ早く、母の胸に〜♪」 ミスティア「……だけど。 あれ、何でだろう。眼から涙が、後から後から」 「―――――。ああ。本当は、もう一度会いたい」 「一緒に歌いたい。でも」 「………だから、せめてこの歌を」 「帰〜らぬ〜浪路に、友〜呼ぶ千鳥に 我も恋し、失せし人よ〜 尽きせぬ恨〜みに、泣くねは〜共々 今日も明日も〜、かくてと〜わに〜♪」 |
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真白き富士の根(七里ヶ浜の哀歌) 作曲:インガルス 作詞:三角錫子 真白き富士の根、緑の江の島 仰ぎ見るも、今は涙 帰らぬ十二の雄々しきみたまに 捧げまつる、胸と心 ボートは沈みぬ、千尋の海原 風も浪も小さ腕(かいな)に 力も尽き果て、呼ぶ名は父母 恨みは深し、七里ヶ浜辺 み雪は咽びぬ、風さえ騒ぎて 月も星も、影を潜め みたまよ何処に迷いておわすか 帰れ早く、母の胸に みそらにかがやく、朝日のみ光 暗(やみ)に沈む、親の心 黄金も宝も、何にし集めん 神よ早く、我も召せよ。 雲間に昇りし、昨日の月影 今は見えぬ、人の姿 悲しさあまりて、寝られぬ枕に 響く波の、音も高し 帰らぬ浪路に、友呼ぶ千鳥に 我も恋し、失せし人よ 尽きせぬ恨みに、泣くねは共々 今日も明日も、かくてとわに |