年賀状2010

年賀状2010


謹んで年頭の御挨拶申し上げます

本年も「胡蝶の見果てぬ夢」をどうぞよろしくお願いいたします。
2010年1月 摸捫窩



 2010年の年賀状の慧音さん。

 今年は何とか年賀状を掲載することが出来ました。……白黒ですが。

 白黒なんで分かりにくいかと思いますが、旭日と波を描いたつもりです。実は伝統的な吉祥画の一つに「旭日海波」と呼ばれるものがあり、今年の絵柄はそれを参照しています。

 詞書は太陽を謡った『楚辞』の一節です。

  暾将出兮東方(暾[とん]として将[まさ]に東方に出でんとし)
  照吾檻兮扶桑(吾が檻を扶桑より照らす)

 神を称える一種の神楽歌ですね。九歌第二、「東君」冒頭のニ句です。
 「暾」は真ん丸い旭日がさし昇るさまを表す言葉で、転じて旭日そのものや旭日の穏やかで明るいさまをも表します。「檻」は建物の手すりのことです。また「扶桑」は日本のことを指す場合もありますが、ここは本来の東海の太陽が昇るところに生えている神木の意味でしょう。
 “ほのぼのと明るくまんまるい太陽が東方から昇ろうとしていて、私の家の手すりを遥か東海中の扶桑の神木から照らしている”といった意味です。

 ちなみに、『楚辞』は中国の戦国時代の詩人屈原(楚国の忠臣として知られる。前343?-277年?)の詩賦を中心にして編纂された全17巻の詩集です。いわば南方系の作品ですが、後世に大きな影響を与えました。屈原は有名人ですから、ここでくだくだしく述べる必要は無いでしょう。

 そんな訳で、余り寅年とは関連が無いのですが、まあ白澤も虎と同類の魔除けですし、一応おめでたい画題なので。


 では、皆様にとって、本年が素晴らしい年となりますように



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