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三峰の紅葉 |
三峰山は海抜約1100m。古くからの信仰の山です。 三峰とは雲取・白岩・妙法(奥宮が鎮座しています)の三つの峰が連なることから名づけられたとされます。 三峰の信仰圏は関東甲信越から東海地方にまで及んでいました。既に平安期には修験道の聖地として知られ、やがて関東武士の信仰を集めるようになりました。近世には火難除け・盗難除けの神様として各地に三峰講が設けられました。 現在まで残る講社も多く、多数の崇敬者を擁する神社として知られています。 |
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社伝によれば、神社東征中の日本武尊によって創建されました。その後景行天皇の巡幸に際して「三峰宮」の称号を賜ったといいます。役行者や空海も訪れたといいます。 鎌倉時代には畠山重忠ほか関東武士の崇敬を受けました。 荒廃した時期もあったようですが、16世紀初頭の戦国時代には中興の祖とされる月観道満が諸国を勧進し、社殿を再建しました。 さらに江戸期には、天台宗聖護院派の修験道場として栄えました。空海が安置した十一面観音に始まるとされる別当寺は観音院高雲寺と称し、同派の関東における拠点として十万石格とも言われる繁栄を誇りました。 明治時代に入ると神仏分離令を受けて寺院を廃し、神社となり現在に至っています。 |
![]() 狛犬ならぬ狛狼が控えます。 |
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三峰神社の祭神は伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉册尊(いざなみのみこと)の二柱です。 しかし、人々から大きな信仰を集めているのは、むしろ御眷属様と呼ばれる神使の「大口真神」です。これは秩父山中に生息していた狼を祀ったものです。三峰神社の神門や鳥居の前にはたくさんの狼の像(狛狼)が置かれています。 御眷属様の護符を受けることで、盗賊や火災から御眷属様が守護してくれると信じられていたのです。人々は毎年神社から御眷属様を“借り”て祠(仮宮)に祭っていました。こうして拝借した御眷属様一疋の威力は五十戸に及んだと言います。 安政五年(西暦1858年)には一万疋以上の御眷属様が拝借されていたそうです。 |
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なお、御眷属様の護符を配布するシステムは、享保五年(西暦1720年)に荒廃していた社殿を再興した日光法印が始めたようです。 上の写真は立派な随身門(仁王門)です。大規模な八脚門で元禄四年(西暦1691年)の再建と伝えられています。修理されて今は非常に綺麗です。これが三峰神社の正門に当たります。 境内は門を潜って参道を下ってゆくという、ちょっと不思議な地形になっています。門の右手奥に進んでゆくと社殿群があります。 さて、社殿の下までたどり着きました(左写真)。ここにも狛狼が置かれています。 |
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鳥居の左手に見えるのは安政四年(西暦1857年)に造られた八棟燈籠です。奥に見えるのは拝殿です。 三峰神社の拝殿です。寛政十二年(西暦1800年)に再建されたもので、極彩色の装飾が施されています。正面に見える千鳥破風や唐破風が華やかさを添えています。 なお、本殿は拝殿の奥にあってこの写真では分からないのですが、隅木入春日造です。極彩色が施された立派なもので、17世紀半ば(西暦1655〜61年)に建設されました。なお、神社の説明では寛文元年(西暦1661年)に建立されたとあります。 本殿から左手にある建物が小教院で、神仏習合の時代には別当寺の本堂として使用されていたものです。 |
実は神使である狼(御眷属様)は、本殿左手奥の縁結びの木を過ぎたあたりにある摂社、御仮屋神社に祀られています。 そんな訳で、狼さま目当ての場合は是非ともここまで足を伸ばしてください。 今回はうっかりしていて、御仮屋社の写真を撮るのを忘れてしまいました。ナンテコッタ。 |
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御朱印 | 神符 |
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秩父湖。 三峰口から神社への途上にあります。 |
おまけ | |
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三峰神社にはオリジナルグッズを売るお店があります。 中々の品揃えで良い感じでした。上の写真は購入した張子の狼とTシャツ(写っているのは袋だけですが)です。張子は可愛いので思わず買ってしまいました。他にもマグカップとかもありました。何れのデザインも悪くなかったです。 これからは神社のグッズも全国どこでも代わり映えのしない護符や御神籤だけではなく、こうした個性あって魅力的な商品を開発すべきだと思うんです。 まあ、本来は崇敬者を増やすべきなのかもしれませんが、今日ではそれは困難でしょう。やはり観光客を呼ぶための様々な仕掛けが必要だと思います。 その一つとしては、こうしたグッズも効果的だと思っています。 で、これは冗談ですが、若い人(特に男子)に来てもらいたいなら、かわいらしいキャラクターを作るんですな。 “おおくち・まかみ”とか名前付けて、人気のイラストレーターにデザインしてもらってね。 もっとも、自分で言っておいて何ですが私の場合、そんなキャラクターがいたら引いてしまいます……。土鈴とか張子とかの可愛さはOKなんですがね。 |
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瀟洒なお使い | 火事も泥棒も見逃しません! |
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キャラクター入りのイラストなんてのもどうでしょう。 特別出演は狗族のマリモさん(『火の鳥 太陽編』より)です。 |
参考文献
・下中弥三郎編『神道大辞典』平凡社1937(1970複製2版)
・国史大辞典編集委員会『國史大辞典』吉川弘文館1979
ほか
・三峰神社公式HP