上巳の節句


鍵山雛


吾が元に集まり来たれ災厄よ
みんなに幸せもたらすために

<雛人形・流し雛についてはこちら


雛祭る都はづれや桃の月 蕪村



汝秘められし小さき女神、
人の創りし小さな人の形よ

災厄を引き受け逐われし神よ
汝こそ切り捨てられた人の半身

それでも尚
汝は人間の為、在り続けるか
たとえ人に忌まれ避けられようと

そう、汝の心に残るのは
あの日の別れの涙
無垢なる小さ子の真っ直ぐな心
優しく暖かい人の心

今日もまた人里を見守るは
秘められし路傍の小さき女神
人知れず佇む悲劇の人の形



形代にさらばさらばをする子かな 一茶


おひなさまを川へ流すと、おひなさまに疫病神がのりうつって流れ
ていってしまうから、厄が落ちるとか、病気をしないなどといわれた


旧暦三月三日の上巳の節句は、春に始まる
農作業に先立って行われた、穢れを祓うための
一種の禊がその起源であると言われています。


そんな背景を踏まえて改めて見直してみれば、
古代の祓えの形代や神遊びの人形の系譜を引く
雛人形の神性は現代になっても失われてはいないようです。

華やかさの裏側の儚さ、子供時代の淡い思い出
こうした多様かつアンビヴァレントな印象を併せ持つことが、
単なる人形と異なる雛人形の魅力なのかもしれません。



反古入れへ

画帳へ

表紙へ戻る