上野岑雄 | 深草の野辺の桜し 心あらば 今年ばかりは 墨染に咲け 古今和歌集 哀傷歌 |
幽冥楼閣の亡霊少女こと、西行寺幽々子嬢です。
歌は古今和歌集より上野岑雄です。
有名な伏見の墨染桜の歌ですね。
友人の藤原基経の死を悲しんだ上野岑雄が上記の歌を詠んだところ、その心を感じた桜が
墨染色に咲くようになったという伝説です。墨染め色は喪服の色です。
歌は古今和歌集の哀傷歌に収められています。この伝説は能や浄瑠璃にも脚色されています。
なお、謡曲「墨染桜」では歌が少し違います。上野岑雄が「この春ばかり 墨染に咲け」と詠んだ
のに対し、桜の精が現れて「この春よりは」と直すように頼んで消え、その後桜の精が舞をまうと
いうものです。
ところで、実際に墨染桜という品種もあります。小さく花弁の細い白い花を付けます。薄墨色に
見えるのは、むしろ茎や葉の部分です。
桜を詠んだ歌は数多く、有名なものも多いです。
西行法師をはじめ、桜を愛した詩人は枚挙に暇がありません。
ただ、花の散りゆくさまからか、悲しげなものも多いですね。墨染桜の歌も悲しい歌です………。
何とか桜の季節が終わってしまう前に仕上げられました。
原画は結構前に描いたのにねえ。
やっぱり、色塗りはちっとも上手くなりません。