○平成17年10月
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“omnia vincit Amor et nos cedamus Amori”
Publius Vergilius Maro
愛は総てのものを支配する。
されば我等も愛に従わん。
ウェルギリウス『牧歌』第十番69
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霧雨魔理沙 | パチュリー・K |
パチュリー:……西洋ものということで、今月は私が代役なの。
何故?
……上白沢さんの語る内容が重いので、気分転換のつもりかもね。
えぇーと、これは著名なローマの詩人ウェルギリウスの詩の一節です。
『牧歌』の最後、友人ガルスに捧げた詩の末尾なんです。
愛を讃える詩句、……後の基督教の価値観に毒される前のおおらかな
古代を感じさせます、……はい。
うーん、それから―――。
霧雨魔理沙:やっほー!!遊びに来たぜ!
パチェリー:えっ?えっ?魔理沙!……あなた何時の間に?
霧雨魔理沙:おっ、面白そうなものを読んでるじゃないか。
どれどれ。
パチュリー:あっ。これは別に―――。
霧雨魔理沙:――我等も愛に従わん、か。
ほおー。愛ねえ、私の為にあるような言葉だなっ。
恋も愛もおまかせっ、だぜ。
パチュリー:その、……あの。
霧雨魔理沙:なあなあパチェリー、それって『カンタベリー物語』に出てくる文句
じゃなかったか?金のブローチに刻まれてるってやつ。
パチュリー:……だから、それの元になった詩なの!こっちが元祖!
霧雨魔理沙:ふーん。まあいいや。
それより、その頃の魔導書なんて持ってないか?
いやー、典礼魔法なんかより古い形が知りたくてさ。
パチュリー:……。あのね、魔理沙、そもそも魔導書が形式を整えるのは、基督教
の教義が定着して組織化の進んだ中世になって―――。
霧雨魔理沙:あー、難しい話はどうでもいいや。
その手の議論はけーねとでもやってくれ。
じゃ、取り敢えずこれを借りてくぜ。
パチュリー:あ。だめ。
持ってかないでー。
霧雨魔理沙:じゃあなっ。また来るぜっ。
パチュリー:…………。
……。また来てくれるなら……、いいわ。