今月の御言葉

○平成18年2月

パチェ先生 光は東方より



 EX ORIENTE LUX, EX OCCIDENTE LEX
  光は東方より、法は西方より

           ラテン語の箴言

動かない大図書館 普通の黒魔術少女
パチュリー・K 霧雨魔理沙



パチュリー:……また、代役なの。
      まあ、色々あったらしくて、反動ね。
      「光は東方より」、………有名なラテン語の箴言ね。
      この場合の「光」とは文化芸術を、「法」とは普遍的な成文法を………
霧雨魔理沙:東方!まさに私だぜ!!
      東から光?光符アースライトレイ!
      西から砲?魔砲ファイナルマスタースパーク!!
パチュリー:えっ?きゃあ〜〜〜〜。
      ……………。

 ……………少女回復中。


パチュリー:………あなたどこから?っていうか書庫でなんてことを!
      本が、髪が、埃がっ、けほけほっ。

霧雨魔理沙:あ、悪い悪い。ちょっと魔導書でも借りよっかな〜、なんて思ってさ。
      光とか砲とか言うんでついつい……。
パチュリー:………ついついで弾幕打ち込まれたらかなわないわ。
霧雨魔理沙:だって、主人公だぜ?
パチュリー:――――??。まぁいいわ。
      で、いわばこれはローマ人達の見識なの。
     :あの広大な帝国を築いたローマ人達も、その文化的背景をギリシア文明に
      負っていたことを認識していたという訳ね。つまり、文明は彼らから見て
      東方オリエント世界である、ギリシア文化圏からもたらされたという意味
      なの。
     :確かに文学や彫刻などはギリシアのものが優れていたことは確か。でも、
      建築技術や土木技術など、ローマが優れていた分野もあると、私は思うけ
      れど。
     :第二句について言うと、ローマ人達が西方、即ち自らの誇りとしていたの
      はむしろ「法」の創造ね。
     :例えば、紀元前451年に制定された十二表法や、時代は下るけれども西暦
      533年にユスティニアヌス大帝が命じて編纂させた『ローマ法大全』を思
      ってもらえば良いかしら。
霧雨魔理沙:それのどこが凄いんだ?
パチュリー:これは誰もが従うべき普遍的な規範を誰もが解る形にするというものよ。
      それまでは慣習に依っていた訳で、それぞれの属す集団や宗教によって異
      なることが当たり前だった。
     :でもローマ法はローマ市民なら誰でも従うべきものとなった。ローマ法は
      正義と公正に基づき、個別の慣習を超えた普遍的な法を求めた。万民法思
      想とか自然法思想というものね。結局、個人主義的、抽象的なローマ法は
      自由な個人を認めるものであり、ゲルマン法に取って代わり近代法思想を
      支配したわ。
     :法の下の平等を掲げる法治国家の基本形とも言えるのではないかしら。
霧雨魔理沙:法律は息苦しいだけのものじゃないのか?
パチュリー:均一な集団なら慣習だけでも社会は維持できるかもしれない。でも、多様
      な人々を抱える社会では、こうした普遍的なシステムを構築しないと駄目
      なのよ。
霧雨魔理沙:ふーん、そんなものなのか?
      ローマ帝国とかローマ人ってなんだか悪役っぽいけどな。
パチュリー:それは非融和的だった基督教徒の偏った見方。
     :基督教会の単一的文化支配下にあった中世なんかより、多様な人種、民族、
      宗教を認めたローマ帝国の方がよっぽど優れていたと思わない?
     :ローマ人達は芸術ではギリシア人には敵わないけれど、そうした社会的シ
      ステムの構築に自信を持っていた訳ね。
     :まあ、光は東方より、という部分に関しては後世のイスラム文化圏や東ア
      ジア文化圏に関しても当てはまる部分はある訳だけど……。
霧雨魔理沙:でもなあ……、それは外の世界の話だろ。法なんて堅苦しいのは願い下げ
      だぜ。私の規範は私が決める!それが私の生き方だからな。
     :まあ、私は品行方正な常識人だからなあ。ばっちりだぜ?

パチュリー:2千年以上前のローマ人でさえ、自分の限界を慎ましく認識できていたの
      に……。
霧雨魔理沙:私だって色々認識してるぜ?普通で善良で、……………。
パチュリー:……………。
     :『イデア・サロモニス・エト・エントクタ』研究の最新成果、試してみる?
霧雨魔理沙:ふふん。色々足りてるけどな、私は美味しいぜ?
     :もう一度恋心でも喰らうがいいさ!恋符マスタースパ………って、ぎゃ〜??


???  :まっりさ〜。あっそぼ〜よ〜!!

パチュリー:ああ、妹様どうされました?
フラン  :咲夜がねー、お茶だってー。
十六夜咲夜:パチュリー様、お茶の時間ですが、如何なされますか?
パチュリー:ああ、すぐに行くわ。お呼びでない者が約1名居るけれど。
十六夜咲夜:お呼びした覚えはありませんけど、お茶もお菓子も十分ありますわ。
霧雨魔理沙:…………、毒入りハーブティーじゃなけりゃ頂くぜ。
十六夜咲夜:口の減らない黒白だこと。ゲルセミウム・エレガンスは手持ちがないから
      安心なさい。

フラン  :わーい、賑やかで楽しそうだねー。


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