射命丸文

天狗

 天狗   古より虚空を
飛び歩くものと伝へけり
また暴戻なる御霊の冤
このものとなりて天下世途を動かし
動乱兵革を呼ぶと云ふ
 伝統の幻想ブン屋こと、射命丸文嬢です。
 烏天狗さんだそうで、妖怪世界の大物ですねえ。
 文花帖が発売されたそうで、記念です。……まだ持ってませんが。
 まあ、天狗と言ったら、国家転覆の陰謀を巡らせたりする訳なのですが、彼女はどうも違うようですね。多分彼女の文々。新聞の内容のせいでひっくり返るのは霊夢の家のちゃぶ台ぐらいでしょう。

 ただし、天狗というのは妖怪の中ではなかなかの大物です。古代から近世まで長く我が邦に君臨した、代表的な異形のモノです。妖怪としてその威勢は、三本の指に入るでしょう。後の二つは、主に古代から中世にかけての恐怖の的であった鬼と中世以降勢力を拡大した付喪神の一党だと考えています。
 『雨月物語』などに描かれた伝説から、隠れ蓑の昔話まで、天狗譚は広く知られています。情報屋としての性格を持たされた射命丸文嬢には、実のところ山伏やら山岳宗教やら膨大な文化的背景があると思われます。
 で、延々とこうした話を続けたい気分ですが、余りにアレなのでこの辺りで。
 ただ、天狗に関するちょっとした説明を作成してあります。上記の類の与太話の好きな方は(いるのか?)下のリンクからどうぞ。
 ●蛇足な解説「天狗覚書」へ

 『画図百鬼夜行』の「天狗」風に描いてみました。
 ………ポーズが何処かで見覚えがあると思ったら!!がーん。だめじゃん。
 むしろ手塚治虫の『火の鳥・太陽編』の天狗をイメージしてたんだけど………。


参考文献
 荒俣宏『世界大博物図鑑』1991平凡社
 笹間良彦(日本未確認生物事典』1994柏美術出版
 『太平記』(『日本古典文學大系』岩波書店)
 高田衛監修『鳥山石燕 画図百鬼夜行』1992国書刊行会
 ほか


画図東方百鬼夜行へ

画帳へ

表紙へ戻る